Case技術・事例紹介
Sentinel-1観測データによる、
ネパール・中国国境付近の
大規模土石流災害の被害エリア把握
速報:2026年9月1日版
はじめに
- 2026年8月26日に発生した、ネパール・中国国境付近の土石流災害について、Sentinel-1の災害前と災害後の観測データを用いて被害エリアの推定を行った。
- 本報告では、衛星SAR(合成開口レーダ)の強度画像を用い、RGB画像を生成し、災害前後の強度値の変化を見ることにより、被害エリアを把握した。
使用データ
- Sentinel-1D アセンディング
- 災害発生日:Aug-26-2026
- 衛星観測日
災害前:Aug-16-2026 12:21:39(UTC)
災害後:Aug-28-2026 12:21:42(UTC) - 解析方法
VV偏波データを使用し、R:災害前、G:災害後、B:災害後にそれぞれの強度画像を割り振り、災害前から災害後にかけて強度が低くなったエリアを赤、災害前から災害後にかけて強度が高くなったエリアを青に強調表示し、定性的に被害把握を行った。

Sentinel-1D 強度画像:2026年08月16日
白:反射強度が高い 黒:反射強度が低い

Sentinel-1D 強度画像:2026年08月28日
白:反射強度が高い 黒:反射強度が低い

Sentinel-1D 強度RGB画像:R:2026年08月16日, G,B: 2026年08月28日(シーン全体)
赤:災害後、強度が低下 青:災害後、強度が増加
白、灰色、黒:災害前後の変化は小さい

「氷河崩落箇所」
右図:赤:災害後、強度が低下 青:災害後、強度が増加
白、灰色、黒:災害前後の強度変化は小さい
Sentinel-1D RGB画像(右図)では、崩落により植生がなくなった部分が青く表示されている。
画像左上では崩落の影響で水が溜まっている箇所が赤く表示されている。

「洪水箇所」
右図:赤:災害後、強度が低下 青:災害後、強度が増加
白、灰色、黒:災害前後の強度変化は小さい
Sentinel-1D RGB画像(右図)では、災害後に洪水の影響を受けたエリアが赤く表示されている。

「洪水箇所」
下図:赤:災害後、強度が低下 青:災害後、強度が増加
白、灰色、黒:災害前後の強度変化は小さい
Sentinel-1D RGB画像(下図)では、災害後に洪水の影響を受けたエリアが赤く表示されている。
まとめ
- 災害前後のRGB画像により、河川沿いの赤色域は洪水で強度値が低下したエリア、崩落地の青色域は植生の消失で災害後に強度値が増加したエリアと判断した。
- 公開されている光学衛星画像と定性的に比較し、Sentinel-1Dで推定した被害エリアが、先に示した被害と一致することを確認した。
- 一方、今回の対象エリアは起伏の大きい山岳地帯であるため、衛星SARでは倒れ込みなどにより被害エリアを把握できない箇所がある。特に氷河崩落箇所では、倒れ込みにより崩落箇所が見えない範囲が大きく、ディセンディング観測による被害把握が期待される。
参考情報・謝辞
- 参考記事
・ネパール・中国国境付近で発生した大規模土石流災害の衛星画像解析 (https://mapg4d.jp/?p=314)
・立正大学 地球環境科学部 地理学科 永井裕人 准教授 - Sentinel-1データ
欧州宇宙機関(ESA) - 公開光学衛星データ
Planet (https://pal.planet.com/portals/yd2mbgs0/GeneralNepalFloods2026#af15b02e-c569-4fac-8658-eddf25405ac4) - 謝辞
ネパールの土石流災害についての情報ならびにデータをご提供いただいた関係各機関に謝意を表する。
